キルトドロップトップボディ製作 42

オクターブ調整・トレモロ・ナット調整

レスポールタイプ製作57と同様にPetersonVS-2でオクターブ調整する。

レスポールタイプと違うのは、

トレモロアーム搭載で、尚且つフローティング状態である事。

サドル位置が変わると、スプリングとのバランスが変わり、

フローティング量が変わるので、

常に、3弦解放が1音UPできる状態をキープするようスプリング調整も行う。

フローティング量が変わると、弦高も変わってしまうので注意する。

次に、トレモロアームとナット溝の修正を行う。

この時点では、アームを動かしたり、スタンドに立てかけると、ピキッと音がする。

この音が、ナット側で出ているか、ブリッジ側で出ているか、

両方で出ているかを確認しておく。この音が、出ないように調整していく。

まず、粘度の違うスプレータイプの潤滑剤を用意する。

粘度の低いものは、浸透しやすいが、流れたり広がりやすいので、

余計な箇所に潤滑剤がついてしまう。

粘度の高いものは、浸透しにくいが、比較的長時間、潤滑剤が残りやすい。

トレモロ本体プレートと弦が接している部分、サドルと弦が接している部分、

支点部に潤滑剤を塗って、アームアップ、ダウンを延々と繰り返す。

新品の弦なので、よく伸ばしておいてやる。

メッキのついた部品は、ピカピカしているので滑り良さそうに見えるが、

意外に摩擦が大きいので潤滑剤の効果は大きい。

ナットの溝仕上げの目標は、

1:アームを大きくダウンした直後の開放弦ピッチ

2:アームを限界までアップした直後の開放弦ピッチ

3:4-6弦は半音、3-1弦は1音ベンドした直後の開放弦ピッチ

この3つのピッチを、基準音のプラスマイナス5セント以内に収める様にしている。

6弦と3弦は、アームの効きが大きいので、他の弦より時間が掛かることが多い

最後に、スプレーグリスを容器に吹き出し、爪楊枝で拾い、ナット溝に塗ってやる。

余分についたグリスは、綺麗に拭き取る。

ナットにグリスを塗ると、更にピッチの狂いが抑えられるが、

潤滑剤が枯れると、途端に狂いが大きくなる事があるので、

ブリッジ側も含め、まめにグリスアップしてやる必要がある。